向かいの家に、チコちゃんという犬がいる。
その家がまだ建っておらず、畑だったころから
早朝、地主である飼いヌシさんに連れられてきては
畑仕事のあいだじゅう、絶叫していた。
家が建って、ご一家が引っ越してきてからも毎日元気に絶叫。
雷がきらいで、ゴロンと鳴ったら阿鼻叫喚の大絶叫…。
何度タタキ起こされたか、眠れなかったか、わからない。
そんなチコちゃんもすっかり高齢になり、
最近では絶叫にも張りがない。
雪がとけて、よぼよぼした絶叫が
ときおり風に乗ってくると
なんだかホッとするようになった。
(←チコちゃん、へたな似顔絵。)
「オレらが来たころは、たまに吠えられたよ。」